欧州における包装資材規制 欧州における包装資材規制

欧州における
包装資材規制
(EU Packaging and Packaging Waste Regulation)

PACKAGING AND PACKAGING WASTE REGULATION 包装・包装廃棄物法令

2023年11月、欧州議会で包装・包装廃棄物法令(PPWR)の改正内容が採択された。EUの包装廃棄物の削減を目的とし、包装資材のリサイクル率向上のため規制の統一化をはかる。
リサイクル可能素材(≒紙)を重量比で70%使用していない場合は、2030年以降販売不可となる見通し。

包装の原材料をリサイクル可能な重量比でA~Eの区分でグレード化。

OVERVIEW

包装に関する概況

  • 欧州では、使い捨てパッケージや過剰包装による包装廃棄物の増加が数十年にわたる問題となっている。
  • 1994年「包装・包装廃棄物指令(PPWD)」採択以降、EU加盟国と英国は各国で独自の環境政策を実施していた。
  • 2019年6月 G20(大阪)にて、廃プラスチックによる海洋汚染問題が国際問題化。
  • 2022年11月 「包装・包装廃棄物法令(PPWR)」をEU委員会が提案。規制の統合化をはかった。
  • PPWR草案への3,000件以上の修正要請を加味し、2023年11月に採択。2024年5月に施行を予定。
  • 2024年3月4日、修正された規制案に対し、暫定合意。
包装に関する概況

MAIN CONTENT

2024年3月更新
PPWR(包装・包装廃棄物法令)主内容

包装廃棄物の削減を目的としてEU加盟国には、2018年を基準に2030年までに一人当たりの包装廃棄量5%、2035年までに10%、2040年までに15%削減を義務づける。

人口1人あたりの削減目標(2018年比)

さらに、プラスチック包装に関しては、上記を上回る数値目標を追加する意向がある旨が発表されている。

包装資材のリサイクル比率の向上

  • EU市場に出回るすべての包装は、2030年1月までにリサイクル可能な設計とする。

包装の原材料をリサイクル可能な重量比でA~Cの区分でグレード化。
リサイクル可能素材を重量比で70%使用していない場合は、2030年以降販売不可となる。

包装の原材料をリサイクル可能な重量比でA~Eの区分でグレード化。 包装の原材料をリサイクル可能な重量比でA~Eの区分でグレード化。

〈参考〉日本の場合:重量比が51%以上であれば、紙マークを使用する事が可能。

  • 各グレードに応じ、リサイクル手数料(EPR)を包材製造業者に課すスキームを確立。 ※拡大生産者責任制度(Extended Producer Responsibilities):欧州各国では、企業は包装の廃棄に関する費用をEPR Feeとして支払う義務がある。EPR Feeの金額は各国で異なる基準となっているが、紙などのリサイクルしやすいパッケージのEPR Feeはより少額となる。
  • EPR事例

イギリス

2025年より、支払義務が有る包装廃棄物法を施行。パッケージ生産者に対し、パッケージの形態別、数量別の実績データを報告することを義務化。市場投入されたパッケージの最終処分までの費用計算し、包装商品の事業者に手数料支払を求める。

イタリア

イタリアEPR:廃棄時の手数料(2023年1月10日〜)

イタリアEPR:廃棄時の手数料(2023年1月10日〜) イタリアEPR:廃棄時の手数料(2023年1月10日〜)
  • 回収の強化。2029年までに包装材料(紙、プラスチック、木材、金属、ガラス)の90%を分別回収する。

リユース

  • EU市場に出回る全ての包装は可能な限りリユースできるよう設計。(BtoC/BtoB 対象)
  • 2030年までに特定のアルコール飲料(ワイン除く)のボトルや容器の10%以上をリユース可能にする。
    2040年にはさらに25%以上とする。
  • 持ち帰り用の食品容器も2040年までに40%以上リユースとする。

その他

その他 その他 輸送時の梱包の空スペースは40%まで。