

事例紹介
CASE 事例:ヤマサ醤油株式会社様
対象製品 『ヤマサ 饂飩(うどん)気分』シリーズ


ISSUES
紙パッケージ導入の背景や課題
江戸時代創業のヤマサ醤油株式会社様では伝統のしょうゆづくりに新しい発想をとりいれた商品開発を行っておられます。
「オーガニック」や「有機栽培」が世の中に知られるずっと以前の1992年に有機栽培の丸大豆を使用した製品を発売、また2009年にしょうゆの鮮度を保持する画期的な鮮度ボトルを開発されるなど、世の中の環境意識が高まる前から様々な取り組みをされてきました。
「環境配慮型のパッケージ」については、企業行動規範に環境への取り組みを掲げており、社内外での気運が高まったこともあり、導入の検討を開始しました。

ヤマサ醤油株式会社 営業本部 マーケティング部
商品企画室 | 濱田 菜歩 主任 (右) |
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宣伝広報室 | 西谷 綾 室長代理(左) |
ヤマサ醤油株式会社様(以下、ヤマサ様)
「環境配慮型パッケージを検討する以前から、有機JASなど各種認証について流通のお客様からお問い合わせを受けることが増えており、世の中の環境問題への関心の高まりを感じていました。
そこへ、他業界の商品で紙パッケージ導入のニュースが出たことをきっかけに環境配慮型パッケージについて具体的なご要望をいただくことが増えてきました。」
ヤマサ様「そんな経緯があって紙パッケージの検討を開始することになり、当初、既存の納入業者様数社に対して相談を持ち掛けて具体的な検討を行った結果、デザインの表現・商品性との兼ね合いなどで一旦対応を見送る方向となりました。」
王子「過去に紙化を見送った経緯があったとは知りませんでした。私たちが伺った際には紙化に向けて積極的に取り組まれているイメージでした。」
ヤマサ様「対応見送りを決定した少し後のタイミングで、王子様からお声がけをいただいて紙パッケージの再検討を進める方向になったのですが、その際は『なんとか紙化を実現したい。王子様となら、出来るかもしれない。』という社内の雰囲気があり、覚悟を決めて取り組むことになりました。」
「一方で、それまで使用していたプラスチックパッケージや他社競合品と比べて見劣りしない見た目、写真のシズル感を紙で実現できるのか。という心配の声もあり、それらを払拭できるかどうかが開発を進めていくうえでの重要なポイントでした。」
POINT 紙パッケージ導入のポイント
01 「おいしさ」を表現するためのシズル感、全体の見え方を印刷サンプルで確認
王子「今回、紙パッケージ導入を実現できたポイントは?」
ヤマサ様「初めの打合せ時に王子様から提案をいただいた紙はこれまで見た紙の中でひときわ白く光沢もあったので『これなら実現できそうだ。』という確信に近いものが自分の中にはありました。」
「特に最重要ポイントである見え方の実現、『おいしさ』を伝えるための写真のシズル感を本当に紙で綺麗に表現できるか。については、社内メンバーからの心配を払拭する必要がありました。」
「そのために、印刷会社様の方で実際に王子の紙に印刷したサンプルを作ってもらい、それを見ながら判断を行いつつ開発を進められたのはすごく大きかったと思います。」
02 紙の良さを活かしたデザイン、色づかいの工夫
王子「紙パッケージ開発でご苦労された点はどんなことでしょう?」
ヤマサ様「パッケージには、商品が綺麗な状態でお客様のお手元に届くよう耐久性が必要なため、包装容器の設計部門が中心となって工場での製造、店頭への運搬など何度もテストを行って課題を一つずつ解決していきました。」
「中でも『饂飩気分』シリーズロゴの背景色である金色の表現には工夫を施しています。はじめは特別なインクを使用した印刷を試しましたが、色の再現性が低く運搬時の耐久性も他のインクに比べ劣っていたため、はがれやキズができてしまうことが大きな課題でした。」
「この点についてはデザイナーさんと相談し、特別なインクを使わずにデザインの工夫で金色を表現する方法に切り替え、またそれにより他の部分に特別な色を使えるというメリットにもつなげることができました。結果的に原紙の白さも活かした紙ならではのデザインが完成し、流通のお客様からご好評を得ることができました。」

原紙の白を活かした商品名表記がインパクトのあるパッケージデザイン。
うどんの販売スペース近くに配置できる専用什器も準備。
03 自身が味づくりをした商品のパッケージ開発を担当。商品への強い思いでプロジェクトを完遂
王子「その他全体で苦労されたこと、工夫されたことなどはありますでしょうか。」
ヤマサ様「開発を進める中で何度か、解決が困難な課題に直面して思わずあきらめの言葉が出たり、導入へのトーンが低くなる部署が出てきたり。ということを経験しましたが『ここまで来たら完遂したい』と自分を鼓舞しながら取り組み続けたことが、今振り返ると苦労と言えるかもしれないです」
とのことで、やはり新しい取り組みを進めるうえで相応のご苦労や葛藤があったそうです。ヤマサ様では本来、商品開発(味づくり)とパッケージ開発で担当部署が分かれていますが、今回パッケージ開発を担当された濱田主任は「私は偶然にも商品開発部門からパッケージ開発部門へ異動したため、自分が味つくりをした商品のパッケージについて継続して担当することになりました。」とのこと。「自身が関わった商品をより良くしたい。もっと売れるものにしたい。という強い思いが、プロジェクトを完遂するうえで大きな支えになりました。」とお話されていたのが印象的でした。
RESULT
紙パッケージ導入後の成果
パッケージ紙化による主な効果をお伺いしました。
01 紙らしさとシズル感の両立を実現。取引先である流通のお客様からの好意的な反応
ヤマサ様「『饂飩気分』シリーズはこれから本格導入となりますが、消費者の方にも、流通の方にも、好意的に受け止めていただいているのを感じています。
デザイン性にこだわりつつ、外装袋はプラスチック不使用の環境に配慮した紙のパッケージでリサイクル可能という点も今後評価につながると期待しています。」
02 しっかりした紙を使用した自立できる包装で配荷のしやすさを実現、お客様からの見えやすさも向上
ヤマサ様「プラスチック包装を使用していた商品については、『自立性がなく店頭での配荷時に商品が曲がってしまい並べづらい。お客様からの見え方も良くない。』とのご意見を取引先のお客様からいただいていました。」
「今回の紙パッケージは厚みがありしっかりしていて自立性が出たために配荷がしやすく、お客様にも見えやすい商品になったことについてもご評価をいただくことができました。」
「また、吊り下げ陳列をするための穴の耐久性も確認できており、さらに専用の紙製什器もご用意するなど、様々な店頭で扱っていただける工夫もしています。」

しっかりと自立するパッケージになり配荷のしやすさを実現。店頭でお客様から見つけていただきやすい形状になりました。
最後に、今後の取り組みについてもお話を伺いました。
少子高齢化、単身世帯、共働き世帯の増加で食卓の様子は様変わりし、ご家庭でのしょうゆの使われ方も大きく変化しています。当社はお客様へ安全・安心は当然、お客様の期待に応える高品質の商品を提供できるよう、環境対応、食品ロス対策など様々な社会課題に取り組み続けながら、食卓を豊かにできる商品を今後もお届けしたいと思っています。
SOLUTION 導入ソリューション
光沢のある紙を選択*
お客様のご要望に合わせ、片艶晒(かたつやさらし)クラフト紙よりも光沢があり、またしっかりとした厚みもある紙を選択。食材や料理の写真を使用するパッケージに適しています。
*紙のリサイクルマーク表示に対応、プラスチック不使用のパッケージです。
PROFILE お客様プロフィール
ヤマサ醤油株式会社
本社所在地 | 千葉県銚子市新生町2-10-1 |
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設立 | 1645年 |
代表者 |
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業種 | しょうゆの製造・販売、各種調味料の製造・販売、医薬品類の製造・販売 |
URL |
https://www.yamasa.com/
『饂飩気分』ブランドサイト |